そんな私が、いま一番好きなこと、情熱を注げること、それは「畑」です。
よく、仕事でも趣味でも、「ギターをやってる」「サッカーをやってる」なんて言い方をすることがありますが、私の場合は「畑をやってる」=”play farm”なんです。
私と畑の出会いは幼少期。
我が家ではおばあちゃんを中心に、畑で野菜を育てたり、田んぼで家族分のお米を作ったりしていて、私や妹はそれを手伝っていました。その中に遊びがあり、それが当たり前という暮らし。
あれはまさに「農ある暮らし」でした。
大学生のときカナダに渡り、ワーキングホリデーをしました。
2011年、東日本大震災の直後でした。食の安全や環境問題にも興味があったので、
日本人の方が経営しているオーガニックの農園で、滞在しながら農作業をお手伝いする、
WWOOF(ウーフ)をさせてもらいました。
幼い頃からおばあちゃんの野菜はたくさん食べてきましたが、
その農園で食べた水菜に衝撃を受けました。畑から直に摘み取って口に運ぶと、
「うわー!ちゃんと水菜本来の味がする!!」と感じました。
その体験から「自分でもこんな野菜を育てたいな」と思い、帰国後は畑を借りたり、
ベランダでちっちゃくやったりしながら、野菜を育てることにハマっていきました。
また、大学で教育について学んできたので、自分の好きな英語を生かして、先生としても働きました。しかし、圧倒的な仕事量や理想と現実のギャップに悩まされ、そもそも組織の中で働くことにも難しさを感じていたりして、ある時、うつ病だと診断されてしまいました。
「このまま薬を飲み続けながらこの仕事を続けていくのはなんかおかしい。
私にはそれはできない。じゃあ、どんな生活を、人生を送っていきたいのか?」
たどり着いた一つの答えが、
「自分の食べるものを、なるべく自分が納得する方法で育てたい。」でした。
離婚もして、ある意味自由になったので、行ってみたいと思っていたニュージーランドでWWOOFの旅をすることにしました。ニュージーランドでは、有機農業のこと、英語やコミュニケーションのこと、社会福祉に関することなど、本当に多くのことを学びました。
特に、自分の中の物事に対する向き合い方、attitudeを鍛えてきたと感じます。
今でも大切にしている言葉で、Play Farm はしばのコンセプトにもしている、
があります。直訳すると「自分の中心を探せ。」
WWOOFのホストで、のーある暮らしの師匠でもあるTimさんから受けとった言葉です。
Timさんはニュージーランドで、農薬や化学肥料を使わず、なるべく自然の力を活かした農業に取り組んでいます。若い頃、日本人の福岡正信さんが書いた「わら一本の革命」を読んで、たいへん感銘を受けたそうです。この本は私のバイブルにもなりました。
もうひとつ、ニュージーランドで経験した大きなものに、「船での生活」があります。
ふとしたキッカケでセーリングに行き、
そこから1年ほど、船に住むことになってしまいました。笑
海なし県の長野ではなかなか経験できないことでした。
素晴らしい景色もたくさん見たし、恵まれているな、ありがたいことだな、
とも感じましたが、コロナ禍ということもあり、
どうしても自分のHOMEだと思える場所に帰りたくなりました。
それは雄大な山々があって、思いっきり自由に土にさわれる、自分の実家でした。
ニュージーランドでの生活に、すごーく満足したので、
日本に、大町に、この場所に、帰ることにしました。
帰国してから、3年ほど経ちました。
自然農の畑や、里山で味わえる暮らしを自分の中心に据えて生きてきたら、
今度は分け合えるほどの豊かさも生まれてきました。
そこで、もともと民宿だった我が家の建物を使って、宿もはじめることにしました。
この場所に帰ってきて、つくづく、「いいとこに住んでるな〜」と感じます。
日々の何気ない瞬間が、私にとっては宝物です。ちょっとくさいですが笑
春は山に山菜をとりにいったり、
夏は湖で泳いだり、
秋はきのこ狩り、
冬は寒いけど晴れた日の雪景色は絶景です。
「この場所に骨を埋める」覚悟を決めました。
もちろん、生活の折々に畑や田んぼがあります。
なるべく自分の食べるものを自分で育てています。
働き方も、自分にやさしく、無理をしない。
だから、他人にもそうできます。
とにかく、今、私、めちゃくちゃ豊かな生活をしているな〜と感じます。笑
この精神的な豊かさを、あわよくば世の中にも広めていきたい!